営業中、少し時間が空いたのでウィッグを切ってみました。
「まっすぐ切る」ただそれだけなのですが、ただそれだけの事を何十年も研究され、理論を起こし何度も練習する。
それが美容師というものなのかなと思いました。
美容師とは、研究者であり、職人であり、理解者であるのだと。
このスタイルはワンレングスと呼ばれ、髪の毛をとかし下ろして同じところで切ることで完成します。
ただまっすぐ切ればいいだけです。
美容学生でもやりますし、美容師もやります。
カットをする上で、オーソドックスなスタイルの1つでしょう。
そしてこのスタイル、ごまかしが効きません。
まっすぐ切るというシンプルな行程はごまかせないのです。
ですから、どんなスタイルよりもカット技術というものが求められますし、そしてどんなスタイルより美しいと思います。
僕らのお店では、こういうスタイルはほぼオーダーされません。
そもそも髪の毛を濡らして、ハサミを横に入れて切るといういわゆるウェット、ブラントカットという技術はあまりしません。
これはお店ごとにある特色であり、逆にこういうスタイルばっかりやってるお店もあれば、うちみたいに乾かして切るスタイルのお店もあります。
ですからどうしても、技術の熟練度に差が出ます。
アシスタントのカット練習に組み込まれる事も少ないです。
が、だからと言って、うちに切りに来たお客様がこのスタイルを望んだとして「うちではあんまりやりませんから…へへっごめんなさい…」とは言えません。
慣れない技術を、環境のせいと正当化したところで困るのはお客様であるわけです。
そうならないように、僕ら美容師は常に技術を磨くべきだと考えています。
口で言うのは簡単ですけどね。
流行がどんどん生まれどんどん廃れていくこの時代でも、本当に良い物や本当に優れた技術というのはそれだけで存在価値があるものだと思うのです。
ただ、まっすぐ切る。
これがいかに難しく、そして今までどれだけたくさんの美容師の方々がそれを求めて技術を磨いてきたかと考えると、ワンレングスというスタイルは美容師の歴史そのものなのかもしれません。
ワンレングスに限らず、カットの奥の深さこそ、美容師の楽しみであると感じます。
最新記事 by 西川ゆすけ (全て見る)
- 日本一開くのが早い美容室 - 2019-11-01
- 美容師が考える美容専門学校の選び方 - 2019-07-02